なぜ ボクがショベルカーにぶらさがったのか

3月28日に那珂川町で絵本作家の田島征三さんの講演会がありました。
演題は「なぜ ボクがショベルカーにぶらさがったのか?」。

現在、那珂川町には県営の産業廃棄物最終処分場の計画があります。
この反対運動をしている、「那珂川町の自然と環境を守る会」の主催でこの講演会は行なわれました。

田島征三さんは以前、東京都下の日の出町という所に暮らしていました。そのときに家のすぐ脇に、三多摩地区の一般廃棄物最終処分場の建設計画が持ち上がりました。
かの有名な日の出町の管理型最終処分場です。

自然をこよなく愛し、日出町をとても気に入って暮らしていた田島さんは勿論この計画にたくさんの住民と共に反対をしました。結果的には行政の底力(横暴)に屈し、処分場は出来てしまうわけですが、同じ苦しみをよその地区でも繰り返さないためにと、現在も各地の反対運動に協力して体験を語り続けています。

日の出で癌が多発したという事実は封印されてしまったようですが、田島さん自身も癌を患い、現在は日の出を離れています。瀬戸際からよみがえった田島さんの言葉には自然も環境も壊してしまう処分場に対する危機感があふれています。

焼却という減量化はダイオキシンを代表とする莫大な毒物を生み出します。
この毒物を含む焼却灰を見えないように隠すための施設、これが管理型最終処分場です。
現在当たり前のこととして行われている、このごみ処理のあり方が現在も、そして未来永劫多くの生命の健康と環境を傷つけ続けるのです。

「処分場の反対運動は地域エゴとよく言われるが、ゴミを造ってお金をもうけて、後処理を行政にお任せしている企業こそがエゴなのではないか。」

「税金を湯水のごとく使って、巨大な焼却場、処分場を造る行政、その役人さんたちは建設を請け負う大手ゼネコンへ天下り。これってエゴじゃないですか」

「川下の人達のことも考えて、何とか処分場を止めようとすることがエゴなんですか」

面白おかしく語り続ける田島さんでしたが、その言葉には正さなければならない世の過ちに対する怒りが込められていました。その怒りをもって、当時、工事を止めようとした田島さんはショベルカーにぶら下がったのです。命がけで。