サギソウ復活 初めの一歩

バンビ農園のメインの畑は、那珂川の支流の支流のまた支流の最源流の湧出地になっています。

畑の南東側に小高いヒノキの山があり、その中腹からしとしとと水が湧き出しています。
十数年前までは、その湧き出し口までが谷津田として開墾されていました。
当時は周りに植林されたヒノキも小さく、日当たりのよい環境だったのだと思いますが、今ではやっと木漏れ日が差し込む林床となり、小さなたんぼは廃田となっています。
人間本位の改変に翻弄された環境ですが、今はそんな多湿の日陰環境で安定しています。

そんな場所を好む生き物もいて、ランの仲間のミヤマウズラ、ヒトツボクロなどが見られます。<ミヤマウズラ>

今では絶滅危惧種になってしまったアギナシという田んぼの雑草もこの廃田で細々と生き残っていました。(こちらは、今明るいところに移植して増殖を図っています)
<アギナシ>

この辺の昔の環境について地元の長老に聞いてみたところ、数十年前まではサギソウの群落があったとのことでした。それは、「盗掘」のために全て山野草愛好家に持ち去られてしまったそうです。

盗る人がいるのなら、戻す人がいてもよかろうと、私の中の生態系創造型百姓のスイッチが入りました。

昨年の夏に、地元産のサギソウを手に入れ、この春に廃田の一角に管理地を設けました。
雑草との競合などを考えると荒れた湿地に直接根茎を戻すのも心配だったので、購入した赤ダマ土を敷き詰め、半自然半栽培状態で様子を見ることにしました。

本来鉢植えでも管理できるほど丈夫なランであるサギソウなので、心配をよそにすくすくと育っています。
そして8月5日、絶滅するほどに美しいサギソウの花が一輪その可憐な花を咲かせました。

このサギソウが果たして元ここにあったサギソウと同じDNAのものなのか、確証はありません。
また誰かに盗掘されるための植栽で終わるかもしれません。

でも、こんなことでしかこの環境にわびることができないバンビやんなのです。