婆娑羅継ぎ手

何編振りかで生物系から外れたネタになります.
当園の卵を買っていただいている町内のお客さんに,年季の入った和家具職人の方がいらっしゃいます.
(仮称 Kさんとさせていただきます)
趣味,余技も多彩で,配達のたびに話し込んでは楽しい時間をすごさせてもらっています.
昨日は,本職ネタに近い話(家具ではなく建築になりますが)を披露していただきました.
下の写真がそのネタの現物です.


日本の木造建築技術について私はあまり詳しくないですが,一般的な常識としてもかなり高度に進化成熟したとものだったと認識しています.その伝統技術の中で木と木を接合する技術もおびただしい方法が開発されてきたようです.
Kさんは,業界の有る方から「不思議な木造継ぎ手を手に入れたが,はずし方が分からないから教えて欲しい」とこの現物を預かったそうです.


継ぎ手の外面に出ている切込みの形状を見れば分かるように,この組み合わせはどの方向にもずらすことは一見不可能に見えます.(対面同士は同じ形状になっています)

しかしさすが木を相手にしてきた職人さん.
ある方向へこじる(スライドさせる)とはずせることを突き止めました.

中の構造はこれで見ることが出来ました.

この写真を撮らせてもらって,家に戻ったバンビやんは,早速インターネットでの検索を始めました.

程なくして全く同じ継ぎ手の画像が見つかり,その由来や名前をつき止めることが出来ました.
その名は,「婆娑羅(バサラ)継ぎ手」
なんとカッコ良い名前では有りませんか.
そもそもは,大阪城の門に使われていた物だそうです.
http://galleryimpossible.com/outemontugite.htm
これを開発した職人さんの知恵と,未来に謎かけをするという遊び心有っての発明だったのかなと,
遠い昔に思いをはせています.