生いもからのコンニャク作り。
今回は実用的な内容をアップさせていただきます。
コンニャクがどのようにして作られているかご存じない方も多いのではないかと思い、そのあたりから説明を始めたいと思います。
原材料はコンニャクイモです。
サトイモ科の多年生植物の根茎です。(写真)
コンニャクイモにはシュウ酸カルシウムという成分が含まれていて、この結晶が針のようにとがっているので肌に触れるとちくちくします。これは手などの肌ならかゆみ程度ですが口に入れると舌に激しい痛みを感じます。
この恐ろしい芋を食用にしようと考えた昔の人の背中を押したものは何だったのでしょうか。飢え、ゲテモノ趣味、粋???探究心?
ともかく私たちは過去から引き継がれたコンニャクの製法に従えばおいしいコンニャクが頂けるのですから感謝しましょう。
市販のコンニャクは、今回ご案内する“生いもコンニャク”とは製法がことなります。
現在では、運搬性、貯蔵性の問題からコンニャクイモは一回コンニャク粉に加工されます。
これも荒粉と精粉とがあるようです。市販のものはこの両者を使って作られているそうです。これらは食感が堅めに仕上がっていますね。
今回ご紹介するコンニャクは刺身コンニャク用として珍重されているもので、コンニャク芋の産地などで伝統的に引き継がれている製法、食べ方です。
その軟らかく滑らかな舌触り食感は箸が止まらなくなることうけあい、是非お試し下さい。
では生芋からダイレクトに作るコンニャク作りに入ります。
この作り方は私がこの町に越してきたとき、隣に住んでいたおばーちゃんから教わったものです。多様な作り方があるそうなので参考までということでご了解ください。
(生芋2キログラムでの作り方です。)
1、 芋は良く洗い皮をむいて、4切れくらいに切り分けます。
(収獲したばかりの芋ならタワシでこすれば皮もむけてきれいになります。)
2、 大なべに8リットルくらいのぬるま湯を用意します。(少ないより多い方が良いです。)この鍋の中に芋をおろしがねで摩り下ろします。(写真)
(皮膚の弱い人はゴム手袋などで防御しないとものすごくかゆくなります。
この工程をミキサーなどで代用もできますが仕上がりが若干劣るようです。)
3、 下ろした芋は水分を吸収してゼラチン状になります。(15分くらい置いてください。)
水が多すぎればこのゼラチン層の上澄みとなりますので捨ててください。
4、次にこのゼラチン状になった芋を大きなへらでかき混ぜます。
給水しそこなってダマになっていないかを良く確認してください。
ダマがあったらへらでよくほぐして充分給水させてください。
5、この状態で火にかけます。
弱火だと時間がかかり強火だと焦げやすくなります。
自分の攪拌能力に応じて火加減してください。(大体中火以上)
6、焦げないように底を削るようにして攪拌を続けます。(写真)
7、火が通って来るとだんだん重くなります。攪拌するのが辛いくらい重くなったら水を加えてもかまいません。すっと軽くなります。
だんだん色が変わってきて湯気が立つくらいになったら火から降ろします。
8、ここで炭酸ナトリウム(コンニャクの素の名で市販もされています。写真)の水溶液を加え一気に手早くかき混ぜます。
9、均一に混ざったら速やかに型に流し込みます。
私は四角いプラスチック容器(昔使っていた米びつ)を使っていますが、そのまま鍋で固めても構いません。
10、半日ほども置き、荒熱が取れるといくらか固まってきます。
包丁を使って、これを容器の中で好みの大きさに切ります。
このとき上からコップ一杯くらいの水を注いでやると切りやすくなります。
11、切ったコンニャクを、水を入れた鍋に移し火にかけます。
茹で時間は沸騰してから15分くらいです。
12、茹で上がったら水を張った容器に移し、更に一晩アクを抜いてください。
アク抜きがあまいと食べたとき舌にぴりぴりとする刺激が来ます。
念のため、食べる前にもう一度ゆでて水にさらしてください。
13、出来上がったコンニャクは、薄切りにして絵皿に並べればふぐ刺しの雰囲気を味わえます。我が家の家宝の絵皿(冗)に盛り付け
てみました。(写真)
醤油をつけて食べますが薬味には、生姜、柚子の皮、にんにく、などをおろした物が合います。
今頃がコンニャクイモの収獲時期に当たります。
栃木県、群馬県などコンニャクイモ産地の農産物直売所にはこの芋が置いてあることもあります。
見かけたら是非チャレンジしてみてはいかがでしょうか。