春の妖精in備中沢

妖精の存在を感じさせるような山。
備中沢を歩くと、人間がいじりまわしそこなった自然の合間からそんな空気を感じることがあります。
備中沢を歩くと妙に疲れるという人がいます。妖精に精気を吸い取られているのかも、
な事は無いでしょうね。

「スプリングエフェメラル」という言葉があります。
「春のはかない命」などと訳されるようです。
早春に現れて、夏前には姿を消してしまう植物や昆虫の総称です。

でも彼らの命は消えてしまうのではなく、多分早寝なだけなのだと思います。
「暑くて競争の激しい夏は、地面の下で寝て過ごすに限る」という彼らの選択なのかと。

まだまだ寒い早春、彼らは早起きをして自分達だけの世界を作ります。
その光景を私は「暖かくなり始めた早春を喜ぶ妖精たちの遊び場」なのではないかと思っています。

5年目になる備中沢住民アセスの調査でそんな妖精の姿が映っていない写真を何枚か撮ってきましたので紹介します。
(3月の鳥類調査は、個人的都合でフル参加できなかったのでこれをもってその報告に変えさせていただきます。)

4月26日の野鳥の会探鳥会にも是非お越しください。(3月25日のブログに案内あり)

カタクリキクザキイチゲ

カタクリ公園などのような管理された自生地(?)はそこかしこにありますが、
備中沢は、人手に頼らず、人知れず早春の開花を繰り返しているカタクリです。


ヒナスミレ

スミレ愛好家の間では、プリンセスの称号が与えられているそうです。
備中沢ではたくさん見られます。


エイザンスミレ

スミレの仲間では珍しく葉がぎざぎざです。
よって私にも見分けがつきます。


ビロウドツリアブ

ホバリングが得意な小さなアブです。この方をスプリングエフェメラルとするのは私が初かもしれません。かわいいです。


<これより先はあまりエフェメラルではありません。>

ミヤマカタバミ

深山に咲くのでこの名があります。備中沢は深山ではありませんが深山的動植物も多いです。


化石

備中沢初見の化石です。木の葉の葉脈だと思います。


シマヘビ

枯れ葉の中に顔を出すシマヘビ。「春は来てますか」


エビネ

園芸採取のターゲットとしての長い歴史の中で自然界ではきわめて希少な存在になってしまいました。今、人手の入らなくなった植林帯に生息適地を見出しているようです。


ツクバネソウ

沢筋を歩いていると突然群生が現れます。
ハスがお釈迦様の座椅子だったら、ツクバネソウは妖精のチェアーでしょうか。


タヌキランの生え始めた壁面

こんな湿った壁面が大好きな変わり者です。
まねしてショウジョウバカマもへばりついているのですが見えますか。


キセルガイ

陸生貝類です。これは貝の様なカタツムリでしょうか、カタツムリのような貝でしょうか?。
自然度の高いところにいます。50年前に私が住んでいた古い家の縁の下にもいました。
あの頃のあそこは自然度が高かったんだと思います。
余計な話しでした。



備中沢、「侮れない自然」と評価する人がいます。
私もそう思います。
多様な環境が複合的にあり、その融和の中に生物の多様性が保たれています。

まだまだいろいろなものが見つかると思います。
懲りずに、飽きずに、お付き合いください。