お宝収集
新宿の歌舞伎町あたりへ10年ぶりくらいで行くと、何もかもが変わっていてまるで違うところへきたような気がしたことを覚えています。
今では首都圏全体がそのような変化の病にとりつかれているのではないでしょうか。
経済が変化の停滞を許さないのでしょう。
田舎でもそこかしこで現代風の建築物が造られ、風景が少しずつ壊れていくようです。
ただ幸いに広い土地があるために古いものを壊さず、あらたな土地への新築が多いようです。古い建物は物置としてそのまま使うという贅沢も許されます。
先日、町内の知人宅で蔵の改修工事が始まりました。
ここ数十年は、ほとんど利用されていなかったようですがその立派な造りを残すために手入れをすることになったようです。すばらしいことだと思います。
私が伺ったときには中に納めてあった古い農具などが外に出してありました。
私は、何故か若い頃からそういう古いものを見るとわくわくしてしまいます。
このような手道具で自然相手に暮らしていた当時の人々のライフスタイルに畏敬の念を覚えるのです。そんな道具達の今後が気になり、つい「もしいらないのならうちで引き取らせてもらえますか?」と言ってしまったのです。
私がこれらを引き取ったところで時間が止まるわけではない。そんなことは分かっているのですが、性分(性癖)ですね。
<改修中の蔵>
このような改修には在来の建築技術や素材に対する知識が必要です。
田舎ならではの職人さんの出番です。
<梁に刻まれていた年号>
紀元2564年という字がはっきりと梁に書かれていました。
調べたところ、これはどうやら神武天皇即位起源という年号らしく、マイナス660年で西暦に直るようです。つまり西暦1904年、今から103年前、日露戦争勃発の年に建てられた蔵のようです。
<昔の農具>
左から、
田転がし (田んぼの株間を中耕、除草する機械。ガッシャ、ガッシャと田んぼの中を押しながら歩く。大変疲れる機械です。私も12年前まで使っていました。)
用途不明の刈取り機 (所有者も田の人もこの機械のことを知る人がいません。分かる人がいたら教えてください。)
麦踏機 (30キロくらいはある石の車で冬の麦踏に使います。昔の人はともかく身体が資本でした。)
稲ワラカッター (左からワラを入れ、右手のカッターでワラを刻みます。歯車の仕組みによってワラは少しずつ右のほうへ送られ、程よい長さに自動的?に切れるという機械です。)
まんが (手前の棒状の機械は“まんが“と言います。まんがは漫画ではなく、“馬鍬”の省略形の方言です。馬耕の時代にはどこの農家にもあって、牛馬が人間の非力を補ってくれていたのです。)
<イオウ合剤のビン>
イオウ合剤は現在でも使用されているようですが、麦などの病害を防ぐための農薬です。これを販売するときの昔の容器です。手作り風で色合いもよくインテリアに使えそうです。
<最高のお宝>
今回一番胸がときめいたのはこの噴霧器です。
フマキラーですね。うちにも昔ありました。使った覚えもあります。
現存するこのタイプの噴霧器はもう少ないのではないでしょうか。