没原稿

だいぶ前にA新聞の投稿欄に送った原稿が残っていたので,せっかくだからブログに載せてしまえ、というわけで、以下その原文です。

<住民アセスの 成果生かして>

私の住む栃木県那珂川町の備中沢という所で、小さなハチが見つか
った。この場所は県が現在、産業廃棄物の最終処分場を造ろうとし
ている予定地だ。2003年に行なわれた適地性を見るためのアセスメ
ントで、県はここを処分場適地であるとした。
 しかし、この沢の美しさを知る地元の人達は、豊かな自然あふれ
るこの地を、果たしてゴミの処分場にしてしまってよいものかと考
えた。そして住民自らが、専門家の手を借りて住民アセスを行なっ
た。その調査の中で見つかったのがヒダクチナガハバチである。
 このハチは30数年前に2匹が見つかっているだけというきわめて
稀少なもので、専門家は環境の変化により絶滅しやすい遺存種であ
るとしている。
現状では、アセス制度は事業遂行の中の手続きとしてしか機能して
いない。また今回のように、たった1箇所のみを調査して、そこを
適地と評価するというのもいかがなものだろうか。環境アセスメン
トいう制度の本当の意義を取り戻すためにも、行政自らが範となり、
世界で唯一のこのハチの生息環境を守って欲しいと願う。